今回のSmartBank.fmは「シリアルCTO Voice」連載2回目として、「“組織のオープンさ”を維持するスマートバンクの取り組み」をテーマに、CTO・yutaさんの視点をお届けします。組織のオープンネスに取り組む起業家やスタートアップで働く人のお役に立てたら嬉しいです。
このインタビューに出てくる人
書き起こし
オープニング
「オープンさ」を大切にする理由
そうですね。たとえば、いま弊社では「採用」がホットワードです。なので、採用の重要性や、自分たちがやっていることや自社の魅力をもっと発信し、自分たちを知ってもらうことが大事だという話を都度させてもらっていました。それをメンバーがキャッチしてくれて、自発的にブログを書いてくれたり、会社のPRもセットで相談してくれたりするなど、ボトムアップでの行動に繋がってきています。こういったことからも、情報を流通させることのメリットを体感していますね。
ありがとうございます。ちなみに、創業者3人の間ではどんな感じなんでしょうか?
ファウンダーとメンバーの距離を近づける、情報流通の取り組み
聞いてくださっている皆さんの会社でもやっていらっしゃるかもしれませんが、まず、SlackのDMやプライベートチャンネルは最低限にして、基本的にはオープンチャンネルで話すようにしています。また、弊社はドキュメント管理にNotionを使っているのですが、Notionで取った議事録に議論の過程も残し、その場にいない人や後から見返した人にも分かるようにしています。日常業務で徹底しているのはそういうところですね。
事業のロードマップや資金調達の計画など、大きい粒度の情報についても、半期に一度全社に共有するミーティングを設けています。全社で共有する場をつくり、みんなで目線を合わせることは愚直にやっています。
ちょっとユニークなところでいうと、毎朝全員が集まる全社朝会で、昨日今日のリリースやトラブル報告、共有事項を話してもらったり、持ち回りで一言ネタを話してもらったりもしています。
半期振り返りについても、ファウンダーのみなさんから今後の方針が発表されることは結構あると思いますが、それとセットでQ&Aの時間があるんですよね。その場で戦略について質問できるのがスマートバンクらしさかなと思っています。このあたりもこだわりをもってやっているんですか?
メンバーが増えてくると、ファウンダーの思いや伝えたいことを話す時間もなかなか設けづらくなるので、毎週金曜の全社振り返りミーティングのように、全員が集まる場で5分でも10分でもいいから時間をもらって話すといったことも、その意識付けからやっています。
ボトムアップで始まった、オープンさを高める制度や仕組み
たとえばオンボーディングです。新しく入った人は、基本的に情報ゼロの状態から始まります。でも成果を出していただきたいので、会社やプロダクトの状況、開発の進め方など、いろんなことをインプットしていただく必要があります。なので、オンボーディング期間を長めに取り、その期間のココでこれをしてもらうというのスケジューリングを徹底し、適切なタイミングに適切な粒度で情報をインプットしてもらうオンボーディングプログラムを整備しています。
社内にどう溶け込んでいただくかという点も、オープンさの観点で大事だと思っているので、新しい方がどんな人なのか、どんな想いをもって入社されたのか、どういうスキルがある方なのかなど、既存のメンバーと新メンバーの方が互いを理解し合うための「新入社員歓迎会」や「社員を知る会」も制度として用意しています。
スマートバンクでは「Be Open」がバリューの一つになっているので、バリューの浸透・促進を意図して、「だれ1(ワン)」や「だれかん」という仕組みもあります。これだけで聞いてくださっているみなさんに伝わるかわからないんですけど……(笑)
「だれかん」は、「誰でも感謝」の略で、みんなに感謝を伝えるSlackのワークフローです。日々、誰かに仕事をお願いしたり手伝ってもらったり、感謝したいシーンはたくさんあるものの、面と向かって感謝を伝えられなかったり、お礼を言う機会を逃してしまったりすることがあると思います。そんなとき、Slackのワークフローに沿って「この人にこういう仕事してもらって助かりました」という一言を残せる仕組みです。メッセージを書くと、Slackのオープンチャンネルに「AさんからBさんへの感謝が届いています」といった形で通知されます。感謝が届いた人は嬉しいですし、それを見た周りの人に、「この人こういうことしてあげたんだ」「こんな仕事もしているんだ」といったことが伝わるので、これもオープンさを促進する仕組みの一つだと思いますね。
オープンさを維持するポイントは「見える化」
そのなかでも、オープンさを常に高く維持するためには、さっき挙げたような仕組み化をより推進することが必要だと思います。また、社内で推奨されている行動が何なのかを理解してもらうことも重要ですね。弊社もまだまだできていないところがありますが、メンバーが自発的にやってくれていることを言語化し、オープンさを維持するために推奨される行動を見える化していかないといけないと思っています。推奨される行動をしている人をピックアップして取り上げさせてもらうなど、オープンネスをはじめとするバリューの具体的な推奨行動例をユースケースごとにまとめ、後から入ってくる人もそれを見て同じように振る舞えるようにする、というところを徹底的にやる必要があると考えています。
確かにいまは雰囲気でできている部分がありますが、それらを形にして次世代に残していくことができたらいいですね。逆に、オープンさを維持する難しさもありますか?
その場合は、まず経営陣が情報をオープンにする姿勢を見せて、そこから浸透させていくことがファーストステップだと思います。そして、オープンさを維持するために大事だと思うことを徹底してやることですね。
そうですね。経営陣みずから発信したり情報をすばやく共有したりすることで、会社として「それが良いことなのだ」というのを感じてもらい、同じように振る舞ってもらうというのが始まりだと思います。当たり前のことを徹底してやりつつ、その企業らしい仕組みをつくるのは次のステップでやっていただくのがいいかなと思っています。